自分を磨く!今日のちょっといいお話(その285)「リーダーシップのアドリブ」

こんにちは、くらです。

どんな状況でも、リーダーは咄嗟の判断が求められます。

そして、その判断が正しいことはもちろん、引き連れている部下に対する責任を常に問われます。成功者のリーダーシップは、何を目的にしているか。

ある歯科医院の院長の話です。

31歳で開業。

診察台三台、スタッフ四名で開始。

経営は軌道にのる。

大学卒業後、腕を磨きたい一心でいくつもの歯科医院を掛け持ちし、休みの日も勉強会で修行。

そして、隣接する土地に医院を増設、新しいスタッフを増員。その途端に歯車が狂いだす。

全てに目を配っていたのが、増設で手落ちができ、新人スタッフの教育ができず、「上手く回らないのはスタッフのせいだ。スタッフのレベルが低すぎる」と、いつの間にかスタッフに責任を押し付けていた。

患者数は以前と変わらないのに赤字経営となり、借金が嵩んだ。

そして、ある年の旅行中、台風で川の浸水がおこり、天国から地獄へ落とされたような衝撃を受け、急ぎタクシーで医院へ向かった。

タクシーの中で絶望感に襲われながら思った。

「もしこれで医院を畳まなきゃいけなくなったとしたら、スタッフになんて言ったらいいんだろう。

何でいままでもっと優しい言葉を掛けてあげられなかったのか」

医院は確かに悲惨な状況だった。

ところが、完全に指示待ちだと思っていた新人スタッフたちが、院長や幹部スタッフがいない中、泥だらけ復旧作業に従事していた。

その姿を見た時、院長は言葉にできない感動を覚えた。

「医院を復活させ、彼女たちが活躍できる舞台を絶対つくる。

こっちから辞めてもらうことはしない。

一生付き合っていこう」

不思議なことに、この洪水災害以降、業績はプラスに好転、右肩上がりに伸びていった。

院長は思った。

「その理由は、トップである私自身のあり方が百八十度変わったから」

「この世でなんとかなるものはたったひとつ、自分のことだけ。自分が信念を持って自分を変えると、まわりも変わりだす」

院長はそれから毎朝、笑顔のトレーニングをし、イライラした時にはその原因を手帳に書きだしたり、「それって、それほどたいしたことですか?」と自分の心に問いかけるそうです。

まずは自分自身がいつも機嫌よく楽しそうに仕事をすることで、スタッフも自然と笑顔になり、イキイキと働くようになった。

「患者さんはスタッフが連れてくる」

技術力、設備は大事だが、一番は、その場所にどれだけ魅力的な人がいるかどうか。

(月刊到知2015年2月号 到知随想「すべては自分の責任」森昭 より引用)

心が言葉を変え、自分の行動を変え、周りも変えていく。

音楽のアドリブも、まず言葉である音の並びを自分なりに変えて、その場のグルーブを作っていく。

そのためには、そこにいる自分自身の心のあり方が大切。

スタッフではなく、自分が問題であったという真理こそ、院長が創造した最高のアドリブではないかと、私は感じます。

今回もお読みいただきありがとうございました。