こんにちは、くらです。
前回の続きです。
営業職を自分で選んだのですが、最初の印象は、「間違っていた!」(笑)
そもそも、世間で苦労したことのない人間が、人に頭を下げたり、おべっか使ったり、愛想笑いしたり、などできるわけがない。最初は本当にそう思っていました。
つまり、私の営業に対する印象そのものが、そもそもよく分かっていないことから来るものでした。
考えてみれば当たり前です。
何の経験もなく、ただただ営業やってみようかな、などと、深い決意もない軽い人間が、分かっているはずがないのでした。
ですので、営業を始めた最初の1年は、散々な結果。
当時の支店では、成績はいつもほぼどん尻でした。
前任の先輩から病院・開業医の先生方を受け継ぐのですが、最初はほとんど相手にされませんでした。
毎日病院へいく。
先生に会う。
宣伝をする。
「またよろしくお願いします。」
そして、次の病院へいく。
この繰り返し。
実績は全く伸びない。
こんな毎日を繰り返していれば、誰でも嫌になります。
仕事をしているという実感が持てない。
それは、自分が投げたものに対する反応が全く感じられないから。
なぜ反応がないか。
それは、投げること、投げるものが、全て独りよがりだからです。
相手の受け取りたい内容のものを投げない限り、受け取って、そして、投げ返してはくれません。
と書きながら、気づいてしまいました。
このブログもそうなのかも、と。
そもそも投げる相手が全然いないのでした。
反応がないことを続けることくらい、つらいことはありません。
誰でも、自分がやっていることに誰も反応しなければ、継続する意欲がなくなるでしょう。
営業をしていた最初の自分が、全くその通りなのでした。
顧客に製品の話をする。
一応聞いてくれる。
「わかった。機会があれば使うよ。」
と言ってくれるのですが、そう言って使ってくれる人はいませんでした。
私の営業は、医薬品をお医者さんに説明して、適応ある患者さんに使ってもらう、という仕事でした。
毎月一度、支店全員が集まり、丸一日製品の知識、説明の仕方、ロールプレイなどの知識・スキル研修。
きっとどこの業界でもやっていることだと思いますが、伝えるべきことを伝わるように伝える方法を学ぶ。
学ぶ内容は、もちろん会社の各部門から戦略に基づいて作成されたものですので、どの営業マンにも共通です。
でも、実際に現場で使うと、どうして、といいたくなるほど、結果に差がでるのです。
先輩たちと同じことを勉強して、同じように使い方を習っているのに、どうして実績にこれほどの差が出てくるのだろう。
毎日現場へ行って、夜疲れ果てて帰って来て、その日の実績の報告を見て、ため息をつく。
「全然だめだ。」
やっていることが実績に結びつかない。
どうして。考えても考えても分かりませんでした。
習ったことはみんなやっているはず。
やるべきこと、そして、やってはいけないこと。
それに基づいて行動しているはずなのに。
毎日その繰り返し。
やってもやっても報われない仕事に、ほとほと嫌気がさしてきていました。
「やっぱり、自分は営業には向いていないのだ。」
「同期のあいつはもうあんなに実績出している。」
「営業は、向いている人間がやる仕事なのだ。」
こんな声が、自分の頭の中を常に流れていました。
そして、段々と、仕事を辞めることを考えていました。
「自分のような性格に向いている仕事があるはず。」
「営業は、明るくて、前向きで、話がうまい連中がやる仕事だ。」
実績を出せない自分を受け入れることができず、向き不向きの理由になんとか結びつけて、自分を保っていたのでした。
そんな状態で1年が過ぎ、営業という形は保っていたものの、内容はほとんど変わらず、自分の中のモチベーションはゼロに近い状態でした。
朝、支店へ顔を出し、前日の日報を書いて提出し、「いってきます。」といって会社を出て、すぐに行きつけの喫茶店(古い)へ行って時間をつぶす。
昼前ごろに得意先に顔を出し、いつものように製品の説明をして、同じように3,4軒回って、夜は直帰。
「あー、今日も全く仕事の実感がなかった。」
こんな毎日でした。
「この仕事やめた後はどうしようか」
常にそんなことを考えている毎日でした。
そんな自分に、人生の転機と言えるようなことが起こりました。
いつものように、朝会社を出て、行きつけの喫茶店へ行って、タバコ(今はもうやめてます)を吸っていました。
「はー、今日も疲れるなあ。」
そこへ、中の良かった先輩がやってきました。
先輩は私の前に座り、言いました。
「どうした。最近元気ないな。」
「元気ないっすよ。もう全くやる気ないっす。」
その先輩には、自分の思いや考えをよく話し、また先輩もよく話を聞いてくれましたので、そのときの自分の思いを全部吐き出してしまいました。
「やる気ないっす。だいたい、会社がやれっていうからやっているのに、全然反応ないですよ。
引き継いでもらった先輩たちに言われた通り、この病院ではこの先生、この病院ではこの先生に中心的に話をする。
大事な先生にはいつも顔を出して覚えてもらう。
あの先生の趣味はこれだから、この話をするといい。
この病院は夜行ってはいけない。訪問規制があるから。破ると出入り禁止だ。
全てやることやっているのにどうして実績でないんですか。
もうやるべきことないですよ。
どうしたらいいか全く分かりません。」
気が付くと、先輩の話など聞かずに、ここぞとばかりに、だーっと話していました。
私が話尽くして、少しの間、沈黙が流れました。
そして、先輩が言いました。
「そうか。苦労してんだな。
でも、お前の言うことはよく分かるよ。
俺も新人のときは同じような思いしたからな。」
先輩は私の気持ちを受け止めてくれました。
そして、先輩が言った次の言葉で、私の人生が変わったのでした。
「でもな、お前、本当に自分のやりたいことやっているのか?」
えっ、何の話?
最初聞いたとき、全く意味が理解できませんでした。
やりたいこと?
営業なんてやりたくないし、つまり、営業やめろってこと?
先輩の言葉は、自分の胸に突き刺さったのでした。
次回につづく。
Stand fm始めました。良かったら聞いてみて下さい。
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